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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter88 『覚醒』 88-2


コォォォォーッ

(瞳を閉じた、夏樹の頬はまるで蒼白で。 夏の夜の熱を、冷ます様な。
不思議な冷たさを辺りに発し。 静まる気配と逆に、眩い何かが、
夏樹から発せられているかのように。 辺りを照らし、空気を澄ませた。)

「・・っ、夏樹くんっ!///」

「・・不思議・・。 あの、女の子の闇化がとまったみたい・・?」

(紫苑は間近に見て、胸を高鳴らせ。 小さな青いひよこを胸に抱き寄せた。)

トクンッ

(だが同時に、黒煙の中に瞳を閉じている青葉の傍から、
ただならぬ気配を感じ、紫苑は身震いした。 鋭い視線が、こちらを見ているかの様だ。)

「・・あっ・・。」

(フェルゼンの赤い瞳が、水気を含み。 艶やかな光を映しながら。
ゆっくりと夏樹を見た。)

【・・つまらない・・だろう・・なぁ?】

【ふざけているのか・・? お前・・。】

(不思議な、紫色の靴が、青葉のもとから、1歩づつ。 こちらへ近づいてくる。
揺れる黒煙に。 時折曇る、紫苑の茶色の瞳に。 その姿が、見える様な気がした。)

パリンッ バリンッ・・

【この俺が・・。 汚らしいお前に、会いに来てやっているんだ・・。】

【なぁ・・。 お前も、

もっと美しい“闇”を、俺に見せろ・・っ。】



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