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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter93 『覚悟』 93-37


辛い事だ。)

「・・そう。

詳しい事は、ここに書いてあるらしい。」

(夏樹は言いながら、やっと、封筒を顔から離して
菖蒲に見せた。)

「まだ、開けていないんですね。」

「ああ。

本部か屋敷に、所在を限る・・なんて、書いてあるのを、

読みたくないだろ。」

(夏樹は落胆し、苦悶した様子で。
待合廊下近くの長椅子に腰を下ろした。)

(顔色は相変わらず悪く。 青白い肌に、眉根を寄せる紺色の瞳が、
さも嫌そうに揺れていた。)

「開けてみましょうか?」

(それでもその深い紺色の瞳の奥は、明かりを反射し。
キラキラと煌めく光は、少しも変わってはいなかった。)

「うん。 良いよ。」

(了解を得て、白手袋の手が
封を切った。)

ピッ ピリッ・・

パラッ



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