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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter10 『接触』 10-12


「この街では、機械に頼り過ぎてはだめだ。」

(感度が強すぎて、赤い点滅であふれる文字盤を、白い右手で覆った。)

「勘に頼ろう。」

(わずかな時間立ち止まった夏樹は、ゆっくりと、息を整えた。)

(目を閉じる。)

「すぅ・・。」

ザワザワザワッ

(幾人かの通行人が、いや、夏樹が気づかないだけで。 実は多くの人々が、
夏樹を目に留めていた。)

「あの人・・。」

「綺麗ね。」

「男の子? だよね?」

(通り過ぎる度に、人々は、夏樹に振り返り、少女たちは頬を染め。 興味深く
見つめた。)

(血の気が引いたように、真っ白な肌。 深い紺色の髪。)

(それが、見慣れず。 どこか、異国の人の様にも見える。)

「ハーフかな?」

(少女たちは、噂したが。 その場に急に立ち止まった夏樹に、誰も声をかけなかった。)

(ただ、人々は、夏樹から温かな気配を感じ、



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