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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter10 『接触』 10-13


目を閉じた夏樹から発せられる空気に。 近づいてはいけない気がした。)

『僕に、教えてくれ。』

(細身な夏樹の足元から、身体を包むように。 わずかな風が湧き起こった。)

ヒュゥッ

『こうしていると、分かる事がある。』

『どれが、“闇化”するのか・・。』

(夏樹の側を、興味深げに、遠巻きに。 多くの人が通りすぎる。)

(ただし、巻き起こった風は小さく。 誰にも気づかれなかった。)

ザワザワッ

(風は、ワイシャツの胸を撫で、首元から、深い紺色の髪に。
白い両腕に、指先へと吹き抜けた。)

『この街の風は、・・荒っぽいみたいだ。』

ヒュウッ・・

トンッ

「!」

(その時、風に誘われるように。 夏樹の左手の指先に、
一人の女性の腕がわずかに触れた。)

「はっ。」

(夏樹は、目を開けた。)



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