HOMENovel
Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】
Chapter10 『接触』 10-3
(静乃は微笑んだ。)
「ええ〜っ、楽しみ。」
(背の高い佐織は、凛とし。 静乃と並ぶと、静乃を見下ろすほどだった。)
(それでも、こんな様子を見ると、とても女の子らしいと、静乃は思った。)
「手を出しちゃだめよ。」
(静乃は、ウインクした。)
「なによ、先生。 自分は彼氏がいるからって。」
「ずるいじゃない。」
(佐織は、ぷりぷりし、サラサラとストレートの髪を揺らした。)
「難しい子なの。」
「たぶん、佐織さんのタイプじゃないわ。」
「へぇ・・。」
「残念。 カッコいい人じゃないのね。」
(二人は、廊下を抜け、隣の本校舎へ続く、渡り廊下へ出た。)
(一階にある。 右手側に中庭が続く、柱と屋根で出来た窓のない渡り廊下は、
緑の木々の匂いを通し。
季節を感じられる場所だった。)
(5月の日差しが、温かく校舎を包み込む。)
「ははっ。 ほんとに、佐織さんは面食いね。」
『 次ページへ 』 『 前ページへ 』