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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter10 『接触』 10-8


「チイ・・。」

(後ろの席に着き、佐織は、通路を挟んで隣の
チイに向かって、小声で話し始めた。)

「え?」

(チイは、興味深そうに、佐織に笑顔を向けた。 紫苑より背の小さなチイは、
一つ下の学年にみえるくらい小柄だった。)

「まぁ、ほんと? ふふっ。」

(焦げ茶色の丸くカールした短い髪が。 品良く、同じ色のリボンでまとめられ。
丸い小さな頬に、穏やかで優しげな瞳が女の子らしい。)

(佐織と対照的だったが、紫苑を含めたこの三人は、昔からの仲良しだ。)

(静乃は教壇に立ち、教科書を開いた。)

「それじゃあ・・ここ、そうね。 小野瀬さん。」

「・・あっ、はい。」

(静乃に呼ばれ、佐織に笑顔を向けて、チイは起立した。)

(紫苑は、期待に胸を膨らませ、黒板に視線を戻した。)

『どんな人が来るのかな?』

『席は・・。』

『佐織ちゃんやチイちゃんの近くになれたら良いな。』

『今は、わたしだけ、少し離れているもの・・。』



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