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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter100 『涙』 100-11


【・・うふふっ・・】

【・・じゃないと・・、この呪いは解けないの・・。】

(紫苑は、唇をきゅっと結んだ。 恐ろしい声は、紫苑の中から聞こえた。)

『・・呪い・・。』

・・ドクンッ・・ ドクンッ・・

(砂浜に立てられた、パラソルの下に、向かってゆく夏樹の後ろ姿を見つめ。
紫苑も、その場に立ち上がった。)

(去ってゆく夏樹の背中に、紫苑は自分との壁を感じた。 悲しいと思ったはずなのに、
心の中の声は笑っていた。)

(強い海風が吹き。 明るいベージュ色の髪を、舞い上がらせる。
髪に隠れて見えない表情の下。 ピンク色の唇が。 微笑んでいた。)

ザザザザーンッ・・

(パラソルをくぐり、夏樹は、千波の側に来た。)

「千波ちゃん。 買い物に行くの? 僕も行こうか?」

(波打ち際に立つ、紫苑を見つめていた千波は。 はっとして、夏樹に視線を戻した。)

「・・え?」

「いいわよ。 皆と遊んでてv」

「ソラくんにここにいてもらって。」

「わたしは、菖蒲くんと行くからv」

(千波は、微笑み。 砂浜の様子を見た。)



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