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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter100 『涙』 100-115


「・・・っ。」

(止めどなく涙がこぼれても。 目に見える景色は変わらなかった。)

『夢なら、覚めてほしかった・・。』

「俺が守るって、誓ったのに・・。」

(上空へ舞い上がるソラの目に。 砂煙と、黒い滴が映る。 砕ける城の音が。
遠く響く。)

(静かな風が包み。 小さな砂塵が舞う上空。 一瞬の静けさの後。)

(その下に広がっているのは。 破壊し尽くされた、瓦礫と化す、城下の街だった。)

(家々であったはずの物は、そこに無く。 “闇”が流れ出したその地は、
広い、ただの地面が見え。 あらゆるものが押し流され。 華やかな祭りの景色は
消えていた。)

(日の出に希望の満ちていた、国は消え。 朝見た景色とは全く違う、
廃土が広がっている。)

『それは、取り戻すことの出来ないものだった。』

『昨日と同じ日は、二度と来ない。』

『俺は、そのことを、目の当たりにした。』

「う・・っ。 うっ・・。」

「どうしてだ・・っ、どうしてだ・・っ!」

「皆の祈りは届かず。 願いは叶わないのか。」

「聖なる力も、憎しみに及ばず、この世に、救いは無く。」

「運命は、変えられないのか・・。」



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