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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter100 『涙』 100-116
(遠く、大巫女の声が、木霊した。)
『この世とは、残酷なものじゃ。 ソラ。』
『そなたの願いは、叶わぬ。』
『失った物は戻らず。』
『去りゆく“命”は、留めることが出来ぬ。』
(過去を旅するソラは、歯を食いしばった。)
(元老院である爺の声が、ソラの頭に響いた。)
『“闇”を避けた報い。 受けねばならぬ。』
『運命に逆らい、悪あがきをする様は、見苦しい。』
(過去のソラと、現在のソラの想いが、交錯した。)
「生きたいって思って、何が悪い。
生きてほしいって思って、何が悪いんだよ!」
(ソラの中に、夏樹の姿が浮かんだ。)
***
『僕は、生まれなければ良かっただろうか・・。』
『力は人を不幸にする。』
『触れた相手の人生を変え、命を奪うことさえあるのなら。 僕は、いない方がいい。』
『幼かったあの日、巨大な波となり押し寄せた“闇”は、
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