HOMENovel

Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter100 『涙』 100-126


ゴウン・・ッ!!

ゴオオオオーッ

(異空間の中は、黒に染まっていた。 それは、流れ出る“闇”のせいか。
ソラは、黒い流れに、目をしかめ、魔女の姿を追った。)

ドクン・・ッ

(ソラの目に、映像が浮かんだ。 美しい海だ。 砂浜を、一人の女性が 駆けて行く。)

(必死に走る、女性の先に。 小さな少年が立っていた。)

(ソラは、その女性の顔を見た。)

「夏樹・・っ。」

(そう呼び掛けた女性の、明るい茶色の瞳。 優し気な表情は、千波に良く似ていた。)

(そして、少年が顔を上げた一瞬。)

「・・お母さん・・。」

(女性の指先に、銀の指輪が光って見えた。)

ドオオオォォォーン・・ッ!!

(指先が、触れる寸前。 それは起こった。)

(異世界、砂海の扉から、流れ出た巨大な“闇”の波が。 砂浜に立つ二人を襲う。)

『・・!・・』

(波は、あっという間に膨れ上がり。 ソラの居る空間通路にも流れ込んだ。)



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