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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter100 『涙』 100-127


ゴワッ・・!!

(ソラは、流されぬよう。 ミイを抱き。 激しい黒い流れが、息もできぬほど
押し戻す力に耐え、うごめく“闇”の中。 水色の瞳を開いた。)

『粒樹・・!』

(“闇”に流される母と、代わりに夏樹に触れたのは。 粒樹だった。)

(透明な素足。 柔らかに、舞う。 淡いピンクに色づく幾重にも重なるドレスは、
まるで、エアリエル国で“闇”にさらされる“聖なる花”のようだった。)

(黒い“闇”の中、粒樹は、小さな夏樹を抱きかかえ。 高波の中、身を低くした。)

キラキラキラ・・ッ

(不思議な現象が起こる。 波は、粒樹と夏樹を避け。 二人は、
淡い黄色の光に包まれた。)

(その代わり、“闇”はせり上がり。 行く手を変え、海辺に立つ建物を飲み込み。
その先にある、都市に向かい、流れ込んだ。)

『・・!・・』

「これは・・っ!」

ドオオオォォォーン・・ッ!!

(ソラの目に、耳に。 エアリエル国と同じく。 異世界の都市が、
破壊されてゆく光景が、
音が響いた。)

(次元を旅するソラには、触れることが出来ないものだった。)

(時の流れの狭間に、ソラとミイは居た。)

【・・ルイ・・。】



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