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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter100 『涙』 100-129


(粒樹の透明な、肌が。 柔らかにカールする、深い紺色の髪が。
淡い、ピンク色に染まる、美しいレールのドレスが。 一瞬で、“闇”に飲まれ。
見えなくなった。)

(躊躇うことなく襲い掛かる“闇”に、ソラは息を飲んだ。)

(だが、そこで、“闇”に変化が起こった。)

ギュギュギュ・・ッ ザザザザザー・・ッ

(“闇”が粒樹を飲み込んだ瞬間。 “闇”の進行は止まり。
打ち寄せた、都市の先から。 まるで、波が引くように。 逆流し、
全ての“闇”は、粒樹の中に吸い込まれていった。)

『“闇”が粒樹の中に吸い込まれる・・っ!』

(ソラは、驚き、その様子を見た。)

「は・・っ!」

(強大な“闇”が粒樹の中に吸い込まれた。)

(全ての“闇”を吸収すると。 粒樹の身体は、先ほどの“鍵”のように、
指先から、あっという間に。 全身が、結晶のように凍りついた。)

「・・粒樹・・っ!!」

(ソラは、異空間通路の上から、その様子を見ていた。)

(海岸に、いつの間にか、もう一人。 人物が現れていた。)

(真っ白なスーツに身を包む、長身の男性。 背中に流れる銀髪から。
粒樹の名を叫んだのが、誰だか。 過去を旅する現在のソラにはわかった。)

『聖だ・・っ!』



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