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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter100 『涙』 100-130


『俺は、この時。 夏樹の過去を見ていたのか・・っ!』

(ソラは目を見開き。 その光景を見定めた。)

「あああああ・・!!」

(男性の頭上で、粒樹の身体は、粉々に砕けた。)

(“闇”が消えた、青空の向こうに。 青い海の向こうに。)

(異空間通路に浮かぶ、ソラの目の前に。 きらきらと輝く、小さな結晶が舞い飛んだ。)

「砕けた・・っ!」

キラキラキラッ

(風に乗り、空に降り注ぐ。 欠片の輝きに、ソラは目を凝らした。)

(無数の小さな欠片は、現れた鮮やかな太陽の光に、煌めき。 広い空の向こうへ、
それぞれの地に飛んでゆくようだった。)

(夜空に見えたその場所は。 “闇”が晴れ、もとの明るい空を取り戻した。)

(ミイも顔をあげていた。)

「・・これが、時の欠片・・!」

「ミイ・・。」

「俺たちは、“時の欠片”が生まれた瞬間を見たんだ。」

(二人は息を飲み、互いを掴む手を、離せなかった。)

『“時の欠片”となり、砕けたのは。 粒樹、自身だった。』



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