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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter100 『涙』 100-131


『それならば、“時の欠片”に“命を生む力”があることもわかる。』

『それは、エアリエル国の、王族が持つ力。』

『聖なる樹に注ぐ、命を生み出す力。』

『欠片となり砕けた、粒樹姫の力だからだ。』

(ソラは目の前を通り過ぎる、降り注ぐ“時の欠片”の中。
海岸に残される、二人の姿を追った。)

『聖と、幼い頃の夏樹だ・・。』

「夏樹・・っ!」

(空間通路が、動き出すのを感じた。 赤い翼を纏う、ソラとミイの身体が、
浮き上がる。)

(ソラは、遠くなる夏樹に。 叫んだ。)

「夏樹―・・!!」

(景色が消えてゆく、赤い羽根が舞い。 ソラを次元から切り離した。 水色の瞳に、
砂浜の上に。 立ち尽くす夏樹に。 聖がゆっくりと、近づいてゆくのが見えた。)

「ソラ・・っ。」

(ミイは涙ぐみ。 戻ろうとするソラを、引き留めた。)

(過去の次元に立ち入ることは出来ない。)

『同じ時の中に降りられるとは限らない。

時間と空間を越え、

俺が追いかけ出会ったのは・・。』



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