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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter100 『涙』 100-15


(だが、何かが気になり。 千波の側から、離れたくなかった。)

「菖蒲。」

(夏樹は、パラソルの向こう。 大きな布で仕切った向こうに。
居る人影に、声をかけた。)

シュッ シュルッ・・

(簡単に作ったカーテンの向こうで。 菖蒲は着替えていた。)

「はい。」

バサッ・・

「お待たせ致しました。 夏樹様。 千波様。」

(艶やかな燕尾服に、素早く袖を通し。 細く長い髪を後ろに縛ると。
白手袋をはめ。 眼鏡をかけ。 菖蒲がいつもの装いに戻り、姿を現した。)

「服、乾いてよかったな。」

(菖蒲は、ちらりと夏樹を見た。)

「少々、悪戯が過ぎます。」

(千波は笑った。)

「残念v もうお仕事モード?」

(夏樹は微笑み、菖蒲に頷いた。)

「菖蒲。」

「千波ちゃんを、頼む。」



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