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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter100 『涙』 100-159


『「そうならばいっそ。

僕が、消えよう。」』

(夏樹は、イメージを否定したかった。 だが、思えば思うほど、
リアルに感じられた。)

(それはまるで、自分と同じ姿で。 目の前に立つ。 父のイメージだった。)

『なんて、身勝手だろう・・。

そうやって、母さんを、捨てたのか・・?』

『ああ・・。

そうだ。』

(夏樹は、思わず。 腕を抱え、目を閉じた。)

『身勝手なのは、僕じゃないか。』

(春人は、夏樹を見つめた。)

「夏樹?」

(深い紺色の髪に隠れ、表情が見えない。)

「・・、聖が動いている。」

「きっと、このままでは済まない。」

(わずかに開いた紺色の瞳は。 遠くうごめく影を、捉えるようで。
強く光っていた。)

『行かないで・・聖・・。』



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