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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter100 『涙』 100-178
忘れてはいけない。」
(夏樹は、折れなかった。)
『僕は、僕のままで、生きるしか無かった。』
「ごめん。」
「・・受け取れない。」
(深い紺色の瞳は。 静かに、紫苑を見つめ。)
(吸い込まれる瞳の奥に、何を思うのか。 紫苑には、読み取れなかった。)
『気持ちに正直に。』
『出来るはずがない。』
(夏樹は、苛立つ気持ちを抑えようと、皆に背を向けた。)
『近づけば近づくほど、闇を抑えられなくなる。』
『僕がどんな人間か。
忘れてしまう。』
(二人の会話に、しばらく放心していた皆が。
はっとして、我に返った。)
(キャンプ場を離れ、歩いてゆく夏樹の後ろ姿に。
佐織は、慌てた。)
「・・ちょっと、待って。」
「雨宮・・っ!」
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