HOMENovel
Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter100 『涙』 100-193
『君を・・、
失いたくないと。
思ったんだ・・。』
***
(夜の気配が包み込み、静寂が訪れていた。)
(静かな病室の中に。 膝を抱え、涙する青葉の元へ。)
(近づく気配がある。)
・・トクンッ・・
・・トクンッ・・
「・・はっ。」
(青葉は、瞳を開いた。)
ドクンッ・・!
【・・かわいそうに・・。】
(見えない何者かが、青葉の傍らにいた。)
(ひやりとする感触が、頬に触れた。 涙にかかる、青葉の細い髪先を、
何かがそっと払い。 冷たく鋭い感触が。 瞬く青葉の頬から、首筋を撫でた。)
【・・・お前の願い・・・。
・・・俺が・・・、叶えてやろう・・・。】
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