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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter100 『涙』 100-194


「・・・っ!」

(見開く青葉の瞳に。 その者が、見えた気がした。)

(青葉の首筋に、頬に触れているのは、青く鋭く、長い爪先。)

(驚く青葉の瞳に映るのは、憎しみと怒りに赤く燃える。
血のように滲む、赤い瞳だった。)

ジャリリッ・・ バサッ

(鋭く響く、重い鎖の音。 翻る、深紫色のマントが。
青葉を包み込む。)

「・・わたしの・・願い・・?」

(高鳴る胸に、青葉は手を当てた。)

(青く乱れる髪の奥、赤い瞳が微笑んだ。 耳元で囁く男の声に。
青葉は魅せられた。)

***

(黒い柱が立ち並ぶ、官邸の地下。 執務室で、要人たちは息を飲んだ。)

「時は来た。」

「我々が、“核”を手に入れるべき時だ。」

(骨ばった両手を組み。 黒テーブルの中央に座る男の言葉に。
皆、聞き入った。)

「あの子供から、如何に“核”を取り出すか。 異国の能力者の

お手並みを拝見しよう。」



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