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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter100 『涙』 100-195


「彩、善くぞ。 あの者を引き込んだ。」

「聖に対抗するには、能力者の力を借りるも、致し方ない。」

「いずれ、FOTが始末するだろう。」

「・・いずれ、我々が、FOTを始末すれば。」

「終わりだ。」

(窓の無い、黒い部屋の中で。 仄暗く、シャンデリアが灯っていた。)

「・・はい。」

(彩は仄かな灯りの下。 表情を変えず。 白衣の両腕を組んだ。)

(ピンク色にカールする長い髪は、横に高く束ねられ、少しやつれた頬に、
髪が落ち。 それでも、彩に加わる力のせいか。 より美しく、
魅力的に見えた。)

(大臣たちは、活気づき。 手を叩いた。)

「首相。 かの施設が、議事堂の地下に完成したと。」

「おめでとうございます!」

(石垣は、骨ばる片手を上げ。 大臣たちの言葉を、遮り。 静粛にするよう、
頬骨の目立つ顔を、皆に向け。 鋭い眼光で、黒テーブルの先を睨んだ。)

「・・・。」

(石垣の向かいに、一つ空く、黒い椅子。
そこにかつて座っていた男の姿が目に離れない。)

「“闇”を開放し。 混乱に乗じて、“核”を捕らえる。」

「聖の反乱と見なし。 FOTから全ての権利をはく奪する。」



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