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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter100 『涙』 100-23


「けど。 このままじゃ。 サラの力も枯れるんだ。」

「“闇の樹”と“王”は、本当に滅びたのか?」

「頼む。 いるなら、会わせてくれ。 力を貸してほしい。」

(ソラは、真剣に。 深く、“聖なる光の樹”に頭を下げた。)

サワサワサワッ・・

(風がそよぎ。 香しい香りを、ソラに届けた。)

(ピンク色の花弁が。 ソラを包み。 澄んだ空気に、ソラの胸は震えた。)

「戴冠式を行えば。」

「“闇の樹”に会える可能性があるという。」

「滅びて存在しない。 伝説の“闇の樹”」

「もし、居たなら。」

「・・どこかに、王の生き残りが居たなら。」

「そいつが王になる。」

「俺じゃなくたって、かまわねー。」

(ソラは、そのまま。 顔を上げられずにいた。 満開に咲き誇る“王家の光の樹”を前に、
自分の力が及ばず。 願うのは、助けを求めることだけなどと、思いたくなかった。)

「元老院たちもそう願ってる。 ・・なのに。」

「・・国のみんなが。 信じてるっていうんだ。」



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