HOMENovel

Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter100 『涙』 100-24


(ソラは、顔を上げた。)

「俺なら、王になれると。」

(水色の瞳は、潤み。 光を受け、輝く“聖なる光の樹”を見上げた。)

「伝統に反しても。 恐れられている、“闇の魔女”の呪いが、起ころうとも。」

「俺に王になってくれと言う。」

(今も、花祭りの準備をしている。 国の人々の顔を思い。 ソラは、目を潤ませ、
微笑んだ。)

「心配だ。」

「かつて、“闇の樹”と“王”を滅ぼし。 豊かな森だった“聖なる闇の樹”の森を焼いた。

あの“砂海”のように。 砂漠の海に変わり果てた。

“闇の魔女”の呪いが、まだこの世に存在しているなら。」

「戴冠式は、無事では済まない。」

「“闇の樹”を、見つける代償は、大きい。」

(ソラは、“魔女”の呪いの成就を恐れながら。 もう一つの可能性を捨てたくなかった。)

「・・・。」

「あるいは。」

「俺を、選んでくれないか?」

(ソラは、願いを込めて大樹に祈った。)

「奇跡は。 信じて行動しなきゃ。 起こせねーだろ。」



『 次ページへ 』 『 前ページへ 』
このページのトップへ