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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter100 『涙』 100-27


ゴォッ・・ シュンッ・・!

(粒樹の幻が消える一瞬。 過去のソラは、触れた指先から。
幾つかのイメージを、目に焼き付けた。)

『深い紺色の髪の奥、揺れる紺色の瞳。 鋭い氷の様な覇気。』

『俺があの時、粒樹の残像から読み取ったのは、間違いなく。』

『夏樹のイメージだった。』

『忘れていたんだな。 俺は・・。』

(振り返るソラの記憶の中で。 過去のソラは。 不思議そうに、指先に残る。
しびれるほどの。 強い、夏樹のエネルギーに、瞬き。 興奮した。)

「はぁ・・っ。 何だ今の・・。」

「幻か・・?」

コッ コッ

サアァァァァーッ

(ソラはふと、我に返り。 塔の入り口に、響く足音に。 振り返った。)

「・・サラ!」

(まるで、時の流れが、元に戻る様だった。 ソラは、現れたサラの姿に、
笑いかけた。)

「ソラ? 正装で。 祈りの塔へ足を運ぶなど。」

「良く似合っていますね。」

(サラは、ソラの決意を予感し。 満面の笑みで嬉しそうに頷いた。)



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