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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter100 『涙』 100-39
「! そうやって、事実から目をそらすのか。」
「恐れて来た“闇の鍵”を探そうとしたのは、なぜだ?」
「もう他に、手が無いと知っているからだろう!」
「“聖なる光の樹”の花は、もう散り始めている!」
(ソラの声と同時に、強い風が吹いた。 風は、大広間の天窓から、
ピンク色に色づく花弁をいくつか運び。 光を受ける水色の瞳の前を、
儚く散った。)
「国民は、気づいている。」
「今年の花祭りに出来ないならば。 来年は無いと、知っている。」
「女王サラの力は。 もってあと一年だろう。」
「何もしなければ、一年後。 全て散って、終わりだ。」
「だから皆、今年に賭けてる。」
「俺たちも、賭けよう。」
(中央に座る、長老が、口を開いた。)
「“光”はけして、“闇”になれぬ。」
「魔女と“闇の魔術”とを葬り去った・・、報いじゃろう。」
「“闇の鍵”が存在するのに、“光の樹の王”を迎えようとすれば、」
「“国”の力は崩壊し。 戴冠式は失敗する。」
(長老は、冷めた視線で、ソラを見た。)
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