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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter100 『涙』 100-41


「挑めば。 必ず。 周りの者を、争いに導こう。」

「好奇心か? 冒険心か?」

「お主の世で、幕を引くは、惜しいか?」

「大概にするがよい。」

「惨劇を、その目で見るまで。 分からぬか?」

「静かな時を過ごし。 終りを待っては、いけないか?」

「年寄りの戯言か。」

「自分の力を。 未来を信じるなど。」

「甘いことを、ぬかす。」

「その目で見て。 二度と、取り返せぬ幸せを、後悔するが良い。」

「戦って、何になる?」

(滲み出る怒りをまとう、長老の言葉は強く。 ソラの心を射抜いた。
表情の無い、灰色の瞳は。 遠く、自らが経験した。 “闇の魔女”の破壊の記憶を
呼び覚まし。 老いた手は、年月を越えても決して忘れることがない、あの日の出来事を。
思い出し、打ち震えた。)

(水色の瞳は、見開き。 負けじと、長老を、真っ直ぐに見つめた。)

「俺なら、何もせずに。」

「失う方が、苦しいからだ。」

「後悔するからだ。」



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