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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter100 『涙』 100-48


(巨大な翼を羽ばたかせ。 クゥは飛び立つ準備をした。)

「クウッ」

(ソラは、正装のまま。 急ぎ、大きな白いローブを羽織り。 フードを被った。)

バササッ ゴワッ・・!

(ソラがまたがると、大きく羽ばたき。 豪快に、風を切り。 力強く、
宮殿の正面から。 街の上へと。 舞い上がった。)

(甘い香りと、ピンク色に色づく街が。 ソラを誘った。)

「見えた。」

(ソラは、街並みの上を旋回し。 賑やかに飾り付けられる通りを、クゥの柔らかな
翼の下に見た。)

(小さな出店が立ち並ぶ、商店街には、花祭りを祝う、カラフルな旗や魔法で浮かんだ
可愛らしい飾りが。 風に揺れ。 気の早い店では、きらきらと舞う紙吹雪のように、
シャボン玉のように、祝いの魔法が弾け。 青い空に流れた。)

ドッ トッ・・

(ソラは、商店街の手前に舞い降り。 クゥの手綱を引き。 周りの、賑やかな光景に
胸躍らせた。)

「賑わってるな。」

(途端に、その姿を見つけ。 店番をしていた少年が、声をかけてきた。)

「ソラ兄っ!」

「また、お城っぬけだしてきたのっ!? 遊んでっ、あそんで〜っ!」



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