HOMENovel
Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter100 『涙』 100-55
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「がっがっがっ!! 前祝いだ!」
「食えっ、食えっ! 飲めっ、飲めっ! ソラ!」
(カイは、豪快に。 街自慢の酒を飲み。 ソラに勧めた。)
「飲めないって。 カイ。 はっはっ、んなに飲んで。 大丈夫か?」
(ソラは街の皆の中で。 嬉しそうに笑った。)
「ミトの料理は格別だろうっ。 がっがっ。 な〜に、心配なら。」
「いっちょ景気づけに、やるか?」
(カイの言葉に、ソラの目が輝いた。)
「こぉ〜ら、お酒はだめよ。 ソラ坊やに勧めないの。」
(ミトと呼ばれた女性は。 明るく、カールした短い髪を揺らし、ウインクした。)
「ほら、ソラ。 おかわりは?」
(ミトの家は、人々で賑わっていた。 街の“聖なる樹”の世話役をしている、ミトは。
皆の、母のような存在だった。)
(明るい茶色の瞳。 オレンジ色の髪は、ミイに似ていた。 同じ、“聖なる樹”から
生まれたからだ。 幼い頃から、ソラとミイは一緒に遊んでいた。 ミトは、
二人にとって、母のようだった。)
「がっがっ。 こっちのことよ!」
(カイは笑い。 手元にある剣を取り出すと。 同じテーブルで飲んでいた騎士団員の、
剣を借り。 それを、ソラに放った。)
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