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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter100 『涙』 100-59


(ソラの頬に、心地良い、汗が流れた。 雑念を払ったソラは。
清々しい気持ちで、流れる汗をぬぐい。 夕暮れ時を迎える空に。
吹き抜ける風に、水色の瞳を煌めかせ。 ミイを見た。)

「ミイ。 少し、話そう。」

サァァッ・・

(涼しい風が、流れた。 群衆の騒めきが、静まり。
ミイの胸は高鳴った。)

「・・、うん・・。」

(女の子たちは、嬉しそうに、微笑み。 小さく噂しながら、
ミイを見送った。)

(だがミイは、嫌な予感に、唇をかんだ。)

サワサワサワッ・・

(街の皆から離れて行く、二人の背中を見守り。
ミトと、カイは微笑んだ。)

「昔の、あなたと。 私みたいね。」

(カイは、ミトを見つめ。 肩を抱いた。)

「なら。 越えられるって、ことだろう。」

(振り向き、見上げたミトに。 カイは、口づけた。)

チリリッ

(ミトの胸元に。 青い魔石が、美しく輝いていた。 重なる二人のシルエットに、
夕闇が。 美しい夕日の向こうに、この国の空に、迫っていた。)



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