HOMENovel

Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter100 『涙』 100-60


キイッ

トントンッ

(二人は、賑わうミトの家を離れ。 静かな、ミイの家の前にやってきた。
海岸に面した、ミイの家のある集落は。 海の上に建っており、縁側から。
足を投げだして座ると。 海に触れて、心地良い。)

「子供のころのこと、思い出すね。」

(ミイは、静かな波音に、手を伸ばし。 カラフルな魚が、足元を泳ぐのを見た。)

「ああ・・。」

(ソラは、海風に。 汗が引き、涼しく。 色を変えてゆく、空と海に。
目を細めた。)

「ソラ、ドキドキしてるでしょう。」

(ソラは、ミイに触れるほど近く、隣に腰を下ろし。 笑った。)

「ドキドキしてね〜って、言ったら。 嘘だろ。」

(込み上げる想いに、ミイは。 美しく、沈みゆく夕日を見つめ。 ソラの顔を
見れなかった。 今、振り向けば。 涙がこぼれる気がした。)

「な〜に、泣いてんだよ。」

(ミイは、はっとして。 ソラに振り向いた。)

「うっ・・。 ひっく; 泣いてないもんっ!///;;」

(ソラはミイのことが、愛しく。 ふいに、思い切り。 小さなミイを、胸元に
抱き寄せた。)

「あっはっはっ! ガ〜キ。」



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