HOMENovel

Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter100 『涙』 100-6


「はっ・・。」

(ソラは、どこからか聞こえた声に。 目を見開いた。)

【・・・かわいそうに・・。 選ばれなかった・・王子よ。】

(打ち寄せる波にもまれ、ソラは気配を追い鋭く視線を走らせた。)

「・・っ、誰だ。」

ザザザザーンッ

(波音が、気配をかき消してゆく。 不吉な波動は、結界の中に。
皆のいる、砂浜から漂っていた。)

ザバーン・・ッ

「千波さ〜ん。 お腹へっちゃった。」

(真夏の太陽が照り付ける。 青空の下、鮮やかなエスニックビキニを身に着けた
佐織が、砂浜に上がって来た。)

(ポニーテールから雫が滴り、ビーチサンダルが白い砂を蹴った。)

「あ〜っ、おいし〜っ!!」

(千波のお手製フルーツソーダで佐織は喉を潤した。 甘酸っぱい香りと、弾ける炭酸に
佐織の気分も高揚し。 笑顔で、千波の前に腰かけた。)

「来てもらえてよかった、千波さん。」

「くすっ、わたし料理下手だから。」

「それに、雨宮くんも。 喜ぶよ。」



『 次ページへ 』 『 前ページへ 』
このページのトップへ