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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter100 『涙』 100-7
(佐織の言葉に、千波は。 海風に、なびく明るい茶色の短い髪を
片手で抑えた。)
「ふっふ。 今夜はキャンプ場で、腕を振るうからね♪」
(佐織も笑った。)
「びっくりするわよ。 ぜったい。」
「あの様子だと、本人忘れてるんじゃない?」
(千波は、波打ち際に立つ、夏樹を見た。)
「そうね。」
(夏樹の隣にいる、紫苑に、視線を移し。 千波は瞬いた。)
『ん・・。』
(不思議な気配の変化に、千波は立ち止まった。)
「平気? 千波さん、海苦手だって聞いたから。」
(千波は、佐織に視線を戻した。 髪を抑えていた右手が、
クローバーの髪飾りに触れた。)
「うん。 平気。」
(可愛らしいピクニックバスケットから、美味しそうな料理をテーブルに並べ。
鮮やかなパラソルの下に。 真夏の太陽を受け、心地よい日影が出来ている。)
「お昼が出来たら。 少し抜けて、買い出しに行ってくるから。」
(佐織は頷き、目を輝かせた。)
「わたしもいくよ。」
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