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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter100 『涙』 100-68


「はい。 おばあちゃん・・。」

(ミイは、頷いた。)

「ソラは行くと。 出ておる。」

破滅が待っていようとも。 あの男は行く。」

「ミイよ。 お主はどうする?」

(老婆の真剣な瞳が。 温かなしわの頬が。 微笑み、ミイを見つめた。)

「・・っ。」

(ミイは、はっとし。 ソラのことを。 思い描いた。)

***

ギギッ・・ カタンッ

(ピュアは、街の裏手にある、小さな隠れ家に。 ソラを案内した。)

(夕暮れ時を迎え。 街の表通りには、温かなランプが灯り。 人々の笑い声、
明日の祭りを楽しみに待つ活気であふれていたが。 裏手に入った路地は、
静まり。 ぽつりぽつりと並ぶランプに、崩れそうなレンガが積み上がり。
浮かぶ通りは、
闇夜に紛れ。 怪しげな気配がした。)

「こっちですv」

(崩れかかる薄暗い家は、ピュアの集めた、様々な魔法薬の香りがし。 ランプ明かりでは
足りず。 可愛らしい魔法の杖を。 光らせたピュアが、
山となり、積みあがる。 埃をかぶる魔法書の数々を、どかし。 ソラを導いた。)

「今なら、ザキさまに会えます。 セナさまに見つからないように。」

(ピュアは魔法の杖を掲げ。 部屋の最奥にある、曇った鏡の前に、立ち止まった。)



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