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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter100 『涙』 100-77


(枕元に、小さく動く、生き物がいる。 赤ちゃんドラゴンのアオが、
ソラになつき、頬ずりをしていた。)

「キュィ〜」

(くすぐったさに、ソラは笑い。 閉じていた瞳を、開いた。)

「おはよう。 アオ。」

「んん〜・・。」

(ソラは、伸びをし。 ベッドから起き、明るくなる窓辺に立ち、
一気に、窓を開け放った。)

ガチャッ・・ ゴオッ・・!

(城の高い塔にある、ソラの部屋は。 見晴らしがよく。 強い風が吹き抜け。
空に届きそうだった。)

(白いカーテンと、水色の髪を、風が撫で。 ソラは心地よく。
朝の空気を、胸いっぱいに吸い込んだ。)

「すぅ・・。」

「アオ。 お前を、森に帰さないとな。」

(ソラは微笑み。 揺れるカーテンの中、肩に飛び乗る、小さなドラゴンに微笑んだ。)

バサッ・・!

「クゥーッ!」

(開け放たれた窓の向こう。 大きな翼が羽ばたき。 バルコニーに、クウが
降り立った。)

「おはよう。 クウ。 今行く。」



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