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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter100 『涙』 100-79


(ただ、昨日と、今日は。 確実に、何かが変わっていた。)

(ソラは、二度と。 そこへ戻れないことを予感した。)

(それが、大人になることなのか。 それとも、“光の魔術”を裏切るからなのか。)

『もう一度、この部屋を見られると思わなかった・・。』

(過去を旅する、現在のソラは。 その場所を、留めたい思いと。
これから起こることを予感し。 熱く込み上げる想いを、堪えた。)

「今まで、ありがとう。」

『俺が、子供の頃から過ごした、場所だった。』

『サラが読んでくれた本。 ヒロたちがくれた宝物。

ミイが作った人形まで、取って置いてあったんだ。』

(ソラの目頭は、熱くなった。)

『戻れるなら全部。 どの思い出も、持って帰りたい。』

(後ろ髪引かれる、現在のソラの横で。)

(過去のソラは、躊躇うことなく。)

(その部屋に、深く頭を下げると。)

「行こう。」

バサッ・・!

(クウに飛び乗り。 天高く、力強く舞い上がった。)



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