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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter100 『涙』 100-85


「皆さん。 この季節が来ました。 嬉しい、花祭りの季節が。」

「わたしは、来年も、この季節を迎えたい。」

「皆さんと一緒に、この花の下に。 集いたい。」

(サラは両手を青空に掲げた。 薄紅色の花が、咲き誇っている。)

「そのために、皆さんと戦いたい。」

「この国にかけられた“呪い”を呼び覚まし。 偽りの幸せではない、

永久の幸せを手にしたい。」

(サラは、美しいドレスの裾を手に、ソラを壇上へ導いた。)

「ソラの戴冠式を行います。」

(群衆は沸いた。)

「おお〜!!」

「ソラ様っ!!」

(歓声に包まれ、ソラは壇上に上がった。)

(そこから見える景色は、ソラの心を震わせた。)

(華やかな祭りの場内。 歓喜に染まる人々の顔、集う人々は、“聖なる樹”から生まれた、
エアリエル国出身の者の他、様々な種族、異国から移り住んだ、多様な人種。
だが皆、エアリエル国を愛し、暮らす人々だ。)

「これからもずっと。 皆と一緒に、この国で、暮らして行きたい。」

「そのために、エアリエル国の真実の姿を見たい。」



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