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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter100 『涙』 100-88


「挑むという、愛しいあなたを。 素直に送り出せずにいるのです。」

「ソラ。 セナは、あなたに告げた、覚悟をしています。

挑めば、誰かを失うことがあるのです。」

「“光の樹”の花を、一輪たりとも。 散らしたくない。

その想いは、セナも。 わたしと同じ。」

「セナは、“光の樹”を守る、“光の魔導師”。」

「守りたい想いは、誰にも負けていないのです。」

「あなたに戴冠式を許せば。 花を失うやもしれない。」

「セナは、それを覚悟すると同時に。

けして、そうさせないと。」

「あなたが、悲しむことが無いようにと。

あなたを送り出し、失う決意と共に。

守り抜く覚悟を、したのですよ。」

(サラの温かな言葉に、ソラの心はほぐれた。)

『セナ。』

(ソラは、心の中で。 昨日の、セナの言葉を思い出していた。)

***

「たとえ、お前がこの国の王に、選ばれなくとも。」



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