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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter100 『涙』 100-9


ザザーンッ

(強い海風が、明るいベージュ色の髪を舞い上がらせる。
普段と違い、可愛らしくカールした髪先が。)

(白いレースのタンクトップの肩にかかる。)

(レースから覗く、鮮やかな三段フリルの胸元。 わずかに見えるビキニに、
細く白い足。)

(潮風に混じる、ほのかな良い髪の香りに。
夏樹は、視線を逸らした。)

「夏樹くん、泳がないの?」

(紫苑は、隣に座る夏樹の。 冷たい体温を、感じ。 声をかけた。)

「僕は、いいよ。 紫苑さんこそ。」

「ここに座っていたら、焼けちゃうよ。」

(夏樹は、紫苑の可愛らしいビーチサンダルの足元が。 小さく砂を踏むのを見つめ。
太陽が照らす、白い足を見て笑った。)

「/// あんまり泳ぐの得意じゃないの・・。」

(華やかなビキニを隠す。 レースのタンクトップの裾を引っ張り。
紫苑は頬を染めた。)

「小さい頃、波のでるプールでおぼれそうになってね;

パパが助けてくれたんだけど・・。」

(夏樹は、紫苑の話を嬉しそうに聞き。 間近で見つめる、深い紺色の瞳は。
海の青さのようで。 紫苑の胸は高鳴った。)

「ふうん。 もしかしたら、そんなことがあったのかな。

千波ちゃんも得意じゃないんだ。」

「それとも、僕かな。」



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