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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter100 『涙』 100-90


(ソラは強い瞳で、前を見た。)

(人々が集う、広場の向こうに。 昇る太陽の下。
巨大な大聖堂がそびえていた。 その隣には、長年暮らした城が、
年月を重ねる風格を持ち、建っている。)

(城の裏手の崖の先が、砂漠の海だ。)

(神々しく天に届く。 大聖堂が、ソラを迎えた。)

***

ゴオォーン・・ ゴオォーン・・

(頭上に鳴り響く鐘が。 重く、大きく。)

(大聖堂の場内を揺らした。)

(その覇気が、悪しき者をはらってくれることを願い。 場内に集う国中の人々は、
息を飲み、見守った。)

「この国に、新たな光の力を・・。」

「祝福されし、光の樹の源よ・・。」

「永久に・・この国を栄えたまえ。」

(美しいドレスに身を包む、女王サラが、大聖堂の中央、祭壇の上に。
王冠を掲げた。)

「ソラ・・。」

(サラは、フルネームを呼ぶ前に。 愛情を込めて。 いつもの様に、ソラを呼んだ。)

「はい。」



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