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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter100 『涙』 100-92


「ルリちゃんと、お母さんは、そこから生まれたのよ。」

「そして、これから生まれる命に。」

「新しい王様。 ソラ様が、力を注いでくださるのよ。」

(母子は、抱き合い、その様子を見守った。)

ギギギギッ・・ カシャーンッ・・

(扉が開け放たれた瞬間。 途端に、香る花の香り。)

(青い石が輝く、塔の内部は。 建物の内部でありながら、
美しい、自然の洞窟のようで。 人々は、そこから注がれる、清々しい空気に、
目を見開き。 息を吸い込んだ。)

(石の間から湧く、清らかな水。 壁伝いに、小川のように注ぎ。
天窓から射し込む、強い太陽の光は。 緑の木々を光らせている。)

(大聖堂の奥に続く、祈りの塔は。 まるで、エアリエル国の豊かな自然を、
象徴しているかのようだった。)

(そして、何より。 人々の目を奪う。)

(中央にそびえる、巨大な、一本の樹。)

(満開に、花を咲かせる樹は。 この国の危機をものともせず、
そびえ立つ様だった。)

(花の力は強く。 人々に、永遠に咲き続けると思わせた。)

「ここに。 王位継承の儀を受け。」

「エアリエル国の王となることを。 宣誓致します。」



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