HOMENovel

Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter100 『涙』 100-96


ゴウンッ・・ ゴウンッ・・

(黒い染みは、次第に大きくなり。 粘土質の液体が、どこからか
舞い落ちるようだった。 ピンク色の花弁は、黒に染まり。)

(美しい、青い石の床は。 ドロドロと、ボコボコと音を立て。 溶解し始める。)

(液は、黒い壁の様に立ち上がり。 人々の見上げる頭上で弾けると。)

(飛散し。 黒い煙を上げ。 中から、美しい人の姿が、浮かび上がった。)

バッ ゴオオオオオーッ

バシャーン・・ッ

フオッ

カッ・・ ジャララッ

(黒い煙と、液が舞い落ちる中。 美しい黒い靴を履く足が、大聖堂の床を踏みしめた。)

(怪しく眩い装飾が、纏う黒いドレスに光り、音を立てる。)

「君が。 “闇の魔女”。」

(ソラは、その姿を見た。 到底、この世にいる者とは、思えなかった。)

(ドレスから見える、青白い肌。 血の気を失い、凍りつく顔。)

(見開いた、黒い瞳は。 絶望を映し。 狂気を宿していた。)

ジャララッ

【封印されし、闇の樹の源よ・・。】



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