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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter100 『涙』 100-98


(瞬きの一瞬。 二つの力が、衝突するかに見えた。)

リン・・ッ

(耳鳴りがする。 人々は身を固くし、場内を揺らす衝撃に、身構えた。)

「・・ダメ・・っ!」

(ミイは、悲痛な声を上げた。 見守っていたピュアは、恐怖に叫んだ。)

「・・セナさま・・っ!!」

キンッ・・! バキ・・ッ!!

(闇の魔女を覆うように、放たれた巨大な、硝子の様に透き通る魔法陣が。
一瞬。 闇の魔女の、黒い影を映し。 包み込んだ様に見えた。)

(だが、透き通る魔法陣の向こうで。 黒い瞳が回転し。
ソラを見て。 黒い唇が、微笑んだ。)

【・・私を・・。】

【消して・・。】

ゴ・・ッ ドオオオオオーンッ・・!!

(セナの放つ、“光の魔法”は、打ち砕かれた。 大聖堂を揺るがす轟音が響く。)

(人々の悲鳴。 怒号。 立っていることの出来ない振動に、人々は倒れた。)

(目を開けていることすら出来ない。 歯を食いしばり、うっすらと目を開けるソラの、
水色の瞳に。 セナの砕け散る魔法陣が。 硝子の破片の様に、一瞬散るのが見えた。)

(続くのは、大音量で吹き上がる、黒い波だ。)

(魔女の胸から湧き起こった呪いは、“闇”となり、大聖堂の壁を打ち壊した。)



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