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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter101 『8月1日(懐古)』 101-106


(誠司は、僅かな手掛かりを頼りに、走り回ったが。 簡単に扉は開かれない。)

『能力者の存在を、信じる者自体、少なく。』

『敵が国では、頼れるべき場所もない。』

『僅かな情報を手に、示された場所に辿り着いたが。』

『ただ、広い土地が広がるだけで。』

『建物も。 人も。 私の目には、見えなかった。』

「はぁ・・っ。 はぁっ・・。」

『あの時、こうしておくべきだった。』

『そう思っても、時は戻らない。』

『あの時、全力で走り。 全力で、願っただろうか。』

(誠司は、思い返した。)

「・・聞こえていますか?」

「聞こえているなら、助けてください。」

「・・守ってほしい人がいます。」

(誠司の声は、むなしく虚空に響き。 聞く者も居ない。)

「・・はぁ・・。 はぁっ。」

***

キキッ



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