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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter101 『8月1日(懐古)』 101-109


【《解き放て》《風の砦》】

(瑠衣の放った魔法陣は、千歳を包み込み。
一瞬で湧き起こる風が、男達を切り離した。)

「!」

(千歳は、何が起こったか分からず。 強い風が、
自分を包み込むのを。 深い紺色の火花が、目の前に、弾けるのを見た。)

「あ・・っ!」

(瑠衣の手からこぼれた、ビニール袋が地面に落ち。
野菜や果物が、道路に散乱する。)

【千歳。】

(千歳は、瑠衣に向かい走り出した。 道路の中央へ。
瑠衣の元へ、辿り着く瞬間。
捕えようと、黒い車が。 二人の前に、飛び込んだ。)

キキキキーッ

***

「力を貸してください・・!」

「お願いします・・!!」

(誠司の声は、広い大地に吸収され。 救いの手の届かぬその場所で。
まるで空間に押しつぶされるかの様な、目まいを感じ。)

(頭を下げる誠司の、頬に、首に、汗が流れた。)

「お願いします・・!!!」



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