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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter101 『8月1日(懐古)』 101-11


「わかってたじゃない。」

「夏樹くんが、わたしの側に居てくれるのは。」

「わたしが、FOTのことを、知っているから。」

「・・わたしだからじゃ、ないわ。」

(紫苑は、息をのんだ。)

(皆の元を離れた紫苑を、迎えに来てくれた夏樹の優しさも。)

(特別なものではないと思えて、胸が痛んだ。)

「友達で、いられるだけで。」

「よかったのに。」

「ばか・・。」

(夏樹の優しさに、甘えてはいけない気がして。
紫苑は一人になりたいなどと言ってしまった。)

「受け取って、もらえなかったね・・。」

(胸に、小さなキャンバスを抱え。 紫苑は目を閉じた。)

「ここに、置いてゆくわ。」

(傍にあるコテージに、そっと、窓際のテーブルに
紫苑は、絵を立てかけた。)

コトンッ・・ キイッ

「あれっ。 こんなところに・・。」



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