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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter101 『8月1日(懐古)』 101-12


「足湯?」

「温かそう・・/// 気分転換っ。」

「早く元気出して。 皆のところに。」

「夏樹くんのところに、戻らないとね。」

(コテージの傍に、こぽこぽと湧き出す、お湯があった。)

(紫苑は湯気に惹かれ、静かに近づくと、
柔らかなレースのスカートを持ち上げ。 そっと、足先を
温かな湯につけた。)

***

「聖・・。」

「“鍵”がほしいか?」

「僕も、欲しいと思っている。」

(夏樹はそっと、胸元に触れ。 凍り付くように、冷たい。
自分の白い手のひらを見た。)

「僕は、能力者なだけではない。」

「僕が持つ“鍵”が“闇”を生み出し。」

「・・“鍵”を失えば、僕は生きられないだろう。」

(うつむく夏樹の胸元で、銀の指輪が振動した。)

「どうして、“闇”は生まれた。」

「どうして。」



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