HOMENovel
Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter101 『8月1日(懐古)』 101-111
(通行人たちは、青ざめた。 道路の真ん中には、散乱する
ライトのガラスや、部品。 それらの中に、
倒れている二人の人が居た。)
(砕けた、野菜や、果物。)
(転がる靴。)
(車は見えなかったが、何が起こったのか、推し量るには十分だった。)
「・・瑠衣・・っ、千歳・・っ。」
(依子の目から、涙がこぼれた。)
「・・ああああっ!!」
(崩れ落ちる、依子の前に。 二人は、横たわっていた。)
(瑠衣はしっかりと、両手で千歳を抱いていた。
目を閉じる、瑠衣の深い紺色の髪に。 ガラスの破片が、零れ落ちていた。)
***
ピルルルッ ピルルルッ
(誠司は、乾いた口の中に、砂の味を感じた。 呼び出し音に、携帯に
伸ばした指先が、震える。)
カチャッ
「・・もしもし。」
[「・・ひっく、誠司さん・・。 ・・っ、今、依子さんから連絡が・・。」]
[「・・千歳さんは、無事らしいわ・・。 ・・、瑠衣さんが・・、瑠衣さんが・・!!」]
『 次ページへ 』 『 前ページへ 』