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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter101 『8月1日(懐古)』 101-113
「千歳が、今。 瑠衣に会ってる。」
「瑠衣に、伝えたいことがあるからって。」
(依子の言葉に、桜は、涙に濡れる瞳で。 瞬いた。)
***
『あの日のことは、生涯忘れなかった・・。』
『人生の中で。 一番、悲しい日。』
『そして・・。』
(千歳は、白く。 閉ざされた、小さな部屋の中に居た。)
(そこには、千歳と。 瑠衣だけ。)
(千歳は、そっと。 怪我をした、足を、少し引きずり。
瑠衣の枕もとに、近付いた。)
「・・瑠衣・・。」
「聞いて。」
「わたしのお腹に、赤ちゃんがいるんですって。」
「信じられる?」
(千歳は、静かに微笑み。 目を閉じる、瑠衣に向かって語り掛けた。)
「あなたに、聞いて欲しかった。」
「きっと、飛び上がって。 喜んだでしょう・・?」
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