HOMENovel

Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter101 『8月1日(懐古)』 101-127


(橘は、穏やかに微笑んだ。)

「ここは、平凡な保護施設。」

私共には、あいにく、関係の無いことでございます。」

(橘は、誠司の出方を見た。)

「知っています。

あなた方が、国の特別な部隊よりも、優秀な能力者であるということも。

国の追手から、守ってもらいたい人がいるのです。」

(橘は、誠司を見つめ。 聖に目配せした。)

「誠司君。」

「能力者というのは、知っての通り。 ろくな奴じゃない。」

「なぜ、僕らなら守ってくれると思うんだい?」

「僕らも、君を悩ませる奴らと同じ人種さ。」

(誠司は微笑んだ。)

「同じ『人間』という意味でなら。 分かります。」

「あなたなら、守ってくれる。」

「勘です。」

(今度は、聖が驚く番だった。 誠司は、見返りに大金を差し出すでもなく、
ただ良心を信じていた。 聖が、見返りにより動く人間でないことを知っていた。)

「くっくっ。 僕になんの得がある? 僕は、はい。とは言っていないよ。」



『 次ページへ 』 『 前ページへ 』
このページのトップへ