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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter101 『8月1日(懐古)』 101-130


「えへへ/// 依子のお家にお世話になる。」

(笑顔で、扉の前に立った。)

「ふっ。 ほら、いわんこっちゃない。」

(依子は、大きな日本家屋の、門の前で。 千歳を迎えた。
学生時代から変わらぬ、お団子頭が可愛らしい。 両頬にかかる髪を揺らし、
千歳は、微笑んだ。)

(その瞳が、涙に滲んでいるのを見て。 にっこりと上がる頬が、
赤く腫れているのを見て。)

(依子は、涙ぐみ。 千歳の頬を、両手で、ぎゅっと挟み
笑顔を向けた。)

「だ〜から、言ったんだ。

最初から、あたしのとこへ来てればいいんだよっ。」

(名門の家柄に生まれ。 何不自由無い暮らしが約束されたはずだった。
今では、小さなトランク一つが。 財産だ。)

「ガラの悪い連中も多いけど。 根は良い奴らだから。」

(千歳は、微笑んだ。)

「ありがとう・・。 依子。」

『僅かな間。 わたしたちは、姉妹の様に過ごした。』

『桜とも、手紙でやり取りし。 可愛い女の子が生まれたって知った。』

『紫苑ちゃんっていうんですって。』

『いつか会ってみたかった。』



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