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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter101 『8月1日(懐古)』 101-138


「いつも、前を向いていた。」

「何かに、おびえていながらも。

どこかで、父が守ってくれていると。 信じていたのかもしれない。」

(夏樹は、思い返した。)

「夏には、夏祭りに連れて行ってくれた。」

「わずかな時間ならと。 我がままを聞いてくれた。」

『余裕なんて、なかったのに。』

『僕たちに、お面を買ってくれて。 浴衣は手作りだった。』

(千歳は、時を見ては、子供たちに、季節の出来事や。 自然に触れさせた。)

『「悪い人たちに見つかったらいけないから。 でも、」』

『「あなたたちに、何も思い出を無くしたりしたくない。」』

『「夏樹。 世界には、素敵なことが、たくさんあるのよ。」』

『「しあわせを。 見つけるのよ。」』

***

「・・お母さん。 きつねさんのお面・・?」

(夏樹は、少し大きいお面を頭にかけ。 ドキドキした様子で、母を見た。)

「し〜っ。 人がたくさんいるから。 かくれんぼしながら、お店を見よう。」

「夏樹。 お手てつないで。 迷子にならないでね。」



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